「1週間前にも言っただろ。俺には、子供の恋愛相談にのるまでの義務はないの」


「けっちぃ。いいじゃん、先生。あたしの今後について考えてくれたって」


「知るか。懐くな。迷惑だ」


「……っ。それが数学教師の言うセリフ!?」


「言うセリフだ」


「こうやって、数学の勉強もしてあげてるのに?」


あたしは、机の上に置いた教科書とノートを軽く持ち上げた。


そう、あたしが先生のもとを訪れる名目は、数学の問題でわからない箇所を教えてもらうため。