「あれ? 莉子。おまえ、何してんだ? こんなに遅く」 暗くなった教室、耳元で男の声がした。 「ふぁ?」 右斜め上を見上げると、野球部のユニフォームを着たまま、圭輔があたしの手元をのぞきこんでいた。 「おまえが、放課後……。居残りまでして、数学の勉強?」 圭輔は眉をひそめて、首を斜めに傾けた。 「冗談じゃねぇっつーの」 そう言う口調が、明らかに怒っている。