誰かに抱かれているときは何も考えていなかった。 というより考えたくなかった。 どこかで少しだけ自分を守りたい気持ちがあったのかも知れない。 荒い息をたてながら、必死で動くこの男も、同じ目をしていた。 そしてきっと私も同じような目をしているのだろう。 濁った瞳で見る明日に、期待するような人がこの街には果たして何人ほどいるのだろうか。