その頃モノケロウスはイグニの子を白虎へ託し、ディナスのいる場所へひた走っていた。

「ディナスのエリアの魔獣がほとんどいなかったけど、皆他エリアに出向いているのかな?」

モノケロウスがそんな疑問を口にしていると、ふと一魔の魔獣が姿を現した。

「答えを教えてやろうか、ユニコーン?」

「君は……モルキ!」

モノケロウスの行く手を阻んだのはモルキ。しかしその魔力は以前よりも遥かに増大しているように、モノケロウスには思えた。

「どいてくれないかな。僕はディナスのところへと向かわなければならないんだ」

「ほっほっほ。お前さんが原因で起こった戦争じゃからな。じゃが、森でも上位魔獣と言われ、少し自惚れていやしまいか?」

突如、モノケロウスのいる場所が地震のように揺れる。
すると、地面から広範囲に亘る鋭い水柱が沸き上がり、モノケロウスの体を串刺しにした。

「くっはっはっはっ!残念じゃったなあ!ディナスエリアの魔獣は皆、儂が取り込んでやったのよ!この魔吸収の能力でな!」

せせら笑うモルキの額には、水晶のようなものが埋め込まれている。
モルキはディナスの傘下に加わることにより、この水晶を常に狙っていたのだ。心からディナスには服従していなかった。