魔界動乱期

青い炎の熱度は、赤い炎の比ではない。
その威力に一瞬気を取られたラドンが、背後の殺気に気付いた時には既に遅かった。

「翼……」

「ぐあああっ!!」

パーンはラドンの片翼を掴んだかと思うと、バリバリとラドンの体から翼を引き剥がした。

「う……がっ……」

片翼をもがれ、思うように飛行出来ないラドン。
それでも必死にパーンとの距離を取る。

「死ね……」

しかし、一瞬でラドンの正面に現れたパーンは、至近距離で右手をかざした。
ラドンは空気が沸騰するのがわかり、同時に自分の死を悟る。

「パーンがここまでの魔獣だったとは……。ウィドー様、ゾイド様、すみません」

しかしパーンは右手をかざしたまま、動きを止める。
それは、大気を震わせるほど強大な魔力の持ち主がそこにいたからだ。

「ディナスってやろうをぶっ殺しに来た途中なんだが、そそる相手が見つかっちまったな。イグニを殺そうとしているんじゃあ、テメエ、ディナス軍だな?」

重量感のある体躯、土色の体。

「お前は……戦争に関係ないはず……」

「ふっ、ディナスがよからぬ事を考えているらしいからな。ラウドに係わる事は、自分事なのさ」

「じゃあお前から殺す……。土竜……デグタス」