このウルフ達の会話を、デグタスは聞いていた。
そしてデグタスはのそっと立ち上がり、自らのエリアを出る。

「ラウドを殺ろうとは、聞き捨てならねえ話を聞いちまったな……」

そしてまた別の場所で、全く同じ会話をするウルフ数魔がいた。

「……だってよ」

「けっ、ウチのボスが黙ってねえさ!」

「おい、熱くなってあそこのエリアには入るなよ!」

「わかってるって。‘禁断のエリア’に入っちまったら戦争どころじゃないからな」

禁断のエリアの中心では、そこの主が静かに佇んでいる。
そしてこのウルフの会話を聞き、スッと立ち上がった。

【ラウドを殺す、か。ふふ、面白い事を考える者がいるようだ】

辺り一面の空気が一気に静まり返る。
土も、木も、空気さえも、この魔族が発する禍々しくも絶大な魔力に寒気を感じているように。

そして戦いは佳境を迎える。