一方、アバルを出たジードは、大陸の北から海上に出て、ひたすら西を目指して飛んでいた。
そして三日目の夜。
アバル一の商業都市セグルスツで購入した、自分の位置がわかる電子マップを見ながらジードが叫んだ。

「着いた!」

レンの回復魔法で体力をつなぎながらも、既に魔力は限界に達していたギリギリのところでジード達はフロティアに到着したのである。

「ジード、大丈夫!?」

「はあっ、はあっ……なんとかね。ごめん皆、ちょっと休んでいいかい?」

ジード達が降りたのはフロティアの北端。
まだ城までは距離がある。

「ジード殿、本当になんとお礼を言ったらよいか……。皆、付近の森で食料を探しに行こう。我々を救いだしてくれた恩魔に少しでも栄養を……」

ゾーマの族長であるゼロルドが皆に指示を出したそのとき、上空から雲の塊がスッと舞い降りる。

「?」

皆、やや警戒しながらその雲を凝視した。
今外敵が来れば戦える者はいないため、レンは侵入されないよう、結界を張り巡らす。

「君は、炎駒の友魔のジードという者だね?」

雲から出てきたのは真っ白な毛で覆われた麒麟。

「そ、そうだけど……。麒麟?炎駒さんとはちょっと違う」

ジードは息を切らしながら答えた。

「私はフロティアの索冥(さくめい)という。君達を迎えに来た」

その名前を聞いたゾーマ達は皆一斉にどよめいた。

「索冥?では貴殿が四麒麟の……白麒麟、索冥殿?」

ゼロルドの言葉に、索冥は一礼して微笑んだ。

「私を知って頂けているとは光栄だ」

「魔界で四麒麟を知らない者はおりません。のお、ジード殿?」

「あ、そうなの?」