話は少し遡り……


魔獣の森―

ラウドと妖狐の微妙な関係がルークにバレて以来、ルークは毎日高台を訪れていた。

ルークの生き甲斐は仲間を守る事、森の秩序を守る事、そしてラウドをからかう事。
生き甲斐のために、ルークはどんな労をもいとわない。

「ラウドめ、妖狐が女だって教えてくれなかった罪は重いぜ。ちょっと待てよ?とすると、俺のこの片目は女にとられちまったって事か……?ま……、まあ、いいか」

仲間の事になると、ルークはどんなことがあっても守り抜き、敵をとる。
しかし自分の事になれば呆れる程適当である。
だがそれが逆に、皆から愛される要因でもあった。

「ラウドちゃあん♪……あれ、いねえ。ちきしょう、あいつ最近俺が来る前にどこぞに消えちまうんだよなあ。仕方ねえ……ウルフの情報網なめんじゃねえぜ!」

ルークは狼笛を鳴らした。
‘ラウドを見かけたら連絡せよ’

生き甲斐のためには、ルークはどんな労をもいとわない……。