翌々日、セレナらは第八師団の本拠地であるゲンスロッドの街へと戻っていった。
そこでセレナは、セル山脈の件について放送を流す。
セル山脈の魔獣はいなくなり、そしてそれはジードという素晴らしい魔族のおかげでもある、と。

オンタナのダイフォンに続き、セル山脈のケルベロスをも退治した事で、ジードを国軍の中心メンバーへ、と推すアバル国民が一気に増える。

そんな中、セレナの元にアバル王からの書状が届く。

「セル山脈の件で褒賞を与えたいそうだ。王都まで来てくれ、とさ。アバル様もお許しくださったか、私の勝手な行動を」

セレナは嬉しそうにホルンに話した。

「セレナ様、護衛……いや、従魔はどれほど連れていかれますか?」

「褒賞を受けとるだけだ。私だけで良い。途中、少し遠回りになるが、ボロジールにてアバル様がご用意下さった温泉宿もある。人数が多いと迷惑であろう」

「そうですか」

そして早速セレナは王都に向かう事にした。

「アバルで、ジードに会えるかもしれん……」

ボロジールは小さな村で、あまり魔族のいない秘境という言葉が似合う場所である。
ホルンには、何か嫌な予感がしてならなかった。