魔界動乱期

翌朝、セレナ以外のアバル兵達はそれぞれの配置が与えられ、尚且つその周辺をくまなく記憶するために先に出発していた。
ホルンも皆と一緒に出て、森の侵入口でジード達と落ち合う算段となった。

「おう、なんだ、早いなみんな」

ジードが大部屋に来ると、ケルゲリオが朝食を持ってくる。
セレナは気まずさからか、振り向きもせず、剣を磨いている。

「おい、セレナ!」

「な、なんだ?」

ケルゲリオは上機嫌で、せっせと大量の料理を運んでいる。
ジードの昨日の発言が相当嬉しかったようだ。

「なんなんだよ、昨夜の態度は!?裸で抱きついてきたかと思えば突然……」

「わあっ!ジ、ジード!」

セレナがジードの言葉を焦って遮ると、ガシャーンとケルゲリオが皿を落として、アセアセと料理を拾い上げた。

「は、裸……?」

「ケ、ケルゲリオ殿、違います!」

セレナは慌ててケルゲリオの作業を手伝う。

「お前がわんわん泣くからよお、俺が優しく……。初めてだったんだろ?あんな姿見せんの」

「ご、誤解を与えるような事を言うな!ケルゲリオ殿、決して不埒な意味ではなく……」

「は、初めてを……ジードに……?」

「落ち着いてくださいケルゲリオ殿!」

「あ、ああ、今日はパーティーにしましょう。セル山脈が平和になった事と、セレナ様のロスト記念という事で……。準備をしてきますぅ」

セレナは、ケルゲリオにとって憧れの女性だったのだろう。
フラフラと厨房にこもってしまった。

「なんだあいつ?」

「お前のせいだ!仕方ない、我々もホルンとの合流地点へ向かうぞ!」

「ええ、朝飯……」

「魔獣退治を終えたら、満足行くまで食べれば良い!」

ジードはセレナに引っ張られながら、二魔はケルゲリオ邸を出発した。