魔界動乱期

「さっき、昔の教え子で今は学者のアバルという魔族と話していてな。心して聞けよ?」

「改まってどうしたの?」

「成熟した幻魔獣はな、命のある魔族をも生み出せてしまうらしい」

「そうなの?すごいわね……」

「幻魔獣は基本的には生涯孤独じゃ。そのため、寂しさを紛らすためか、自分の子供の幻を生み出すらしいんじゃ」

「……え?」

「そらによって生み出された者は、普通に殺されれば死ぬし、生みの親が死んでも、存在を消してしまう」

「ラ、ラウドがそうだというの?」

「可能性は限りなく高いらしい。じゃからな、お前らが付き合う前にこの話が出来て良かったわい」

「おじいさまは!おじいさまはラウドを見捨てるの!?」

「この話を聞く前は、ラウドには儂の後継者になってもらう事だけを考えておった。じゃが今はちょっと違う」

「どうして!?ラウドには意思があるじゃない!」

エレナな涙を流しながら大声を張り上げた。
そして決意のこもった目をギルシャスに向ける。

「あたしは……あたしは、ラウドが幻だとしても一生愛し続けるわ!!」

この孫の決意を、ギルシャスは目を閉じて受け止めた。

「それでこそ、儂の孫じゃな。さっきの話の途中じゃがな、今の儂はこう考えておる」

「………」

「ラウドには儂の後継者になってもらい……そして、ラウドを実の息子と考える事にした」

「お、おじいさま……」

この会話を聞いていたラウドは膝から崩れ落ち、拭いきれない程の涙を流した。
そして心の中で二魔に誓ったのである。

「私は、絶対に消えたりしない。たとえ肉体が幻であったとしても、魂ある限りそこに居続ける!魂は……意志に宿る事を証明してみせる!」

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「そうだ、あのとき私はギルシャス様と、エレナの深い愛を知ったんだ……」