「そういうところはルークを見習わんでよい!!」

「ひえっ!!ごめんて!!……あ、妖狐さん!」

「もうその手はくわんぞ!!」

【実戦形式の組手か?ラウド】

「よ、妖狐!?」

今度は本当に妖狐がやってきたのである。
ラウドはそそくさと岩場から動き‘腰掛け’を妖狐へ譲った。

「やっぱ紳士だなあ、親父は」

ジードがわざとらしくラウドの行為を褒め称える。

「妖狐、ジードを助けてくれたらしいな。礼を言う。それにしてもお前が訪ねてくるとは初めてだな。何があった?」

【ヌシがいつまでも来ないから我からこ殺されに来てやったのだ】

「ちょっ、妖狐さん!なんでそうなんの!?」

「妖狐、勘違いをするな。私はお前を……」

【冗談だ。さきほどその童に話忘れた事があってな】

「ていうか妖狐さん、その髪結い、俺のなんだけど……」

【なんだ?】

妖狐はさきほどジードにからかわれた件を思い出し、ギロリとジードを睨み付けた。

「あ、いや、なんでもありません……」

「ジード、こういうやつだ。髪結いは諦めろ」