「ったくよ、暗軍も情けねえ。ネロ以外はやられちまったみてえだな。まあ、俺一魔いりゃあどんな戦争にも勝てるけどよ」

ガイラはそう言いながら、禁断のエリアの上空で動きを止めた。

「魔力を隠してやがるがビンビン感じるぜ。伝説の妖狐さんよ」

そしてガイラは、さきほどとは全く別次元の巨大な魔力を身に纏う。
更にその魔力を一気に放出するように、強烈な稲光が禁断のエリアの中心に落とされた。

「いけねえ、やりすぎちまった。これじゃあ跡形もないな。妖狐の姿を一目拝みたかったがよ。なんせあいつは別名‘魔界一の’……ごあっ!!」

勝ち誇るガイラを、突然何者かが急襲した。
激しい勢いで地に叩きつけられるガイラ。

「ぐうっ、誰だ!?」

ガイラが上空を見上げると、そこには禍々しい魔力を解き放つ魔族がガイラを見下ろしている。
ガイラには一瞬、その姿が悪魔のように見えた。

「ヒューズ?アバル兵ではない。賞金稼ぎか!?」

その魔族はガイラのもとに降り立ち、ニタアと笑う。
更に禍々しく、絶大な魔力が辺りを覆う。

「何者だ、てめえは?」

ゆっくりと近付きながら、その魔族は口を開いた。

「我が名は……ジード・エルナーク……!」