「二度目はねえ」

ケトスの刃がルークを捉える瞬間、視界から消えたルークがケトスの喉元を噛み千切っていた。

「ヒュー……ヒュー……てめえら、二魔とも……俺より上かよ……」

更にルークに違わぬ速さで、ジードもケトスが魔具を持っていた右腕を斬り落としていた。

「仲間を救う事より、自分の復讐心を優先するヤツに情けはかけねえよ」

このあと、ジードとルークはそれぞれのエリアへ戻っていった。


森の入口では、ガイ率いるウルフ軍が健闘し、まだ二万ほどのアバル兵がごったがえしていた。

「そろそろ動くか」

後方でこの攻防を見ていたアバル軍暗軍ネロが、ついに動く。

この入口の攻防において、ガイは防御に専念していた。
‘風'と‘水'の属性を用いて、アバル軍の攻撃の大半を一魔で防いでいたのである。

そのおかげで他のウルフ達は攻撃に集中出来、アバル軍は入口を突破するどころか、徐々に犠牲者を増やしていった。
しかしネロの参戦により、形勢は逆転する。

「さて、ウルフ達よ、そろそろ通してくれはしまいか?」

ネロは、アバル軍の攻撃を全て止めさせ、一魔でウルフ達と向かい合う。
そしてネロが少し魔力を解放すると、あまりの強大さにウルフ達は全員縛られたように動けなくなってしまった。

「賢いウルフ達だ。さあ皆、侵入せよ!」

この掛け声とともにアバル軍がなだれ込む。

「ぐあっ!」「うわっ!」

しかし、なだれ込むアバル軍の侵入を阻止する一魔のウルフ。

「簡単に通しちゃ、ウチのボスに怒られちまう」

ガイである。