賞金稼ぎの実力は様々で、今回の件に興味を持ったほとんどの者は一攫千金を狙う、自称‘実力者’達であった。

そして最初に魔獣の森に立ち入ったケルゲリオという魔族も、そのうちの一魔である。

「ふう、この森に入ったものの、意外に魔獣には出くわさねえな。まあ、おれの狙いはモルキとかいう猿だ。猿が強いわけねえもんな……」

そのとき、ガサッという葉を踏む音に気付いたケルゲリオは、木陰に身を隠す。

「誰か来る。……あ?ヒューズ?この森でヒューズつったら、妖狐!?はわわ、やべえ!妖狐だけは相手にしちゃあ……、でも噂と違うな。確か妖狐はその見た目から別名‘魔界一の……’」

そのとき、ケルゲリオが見ていた魔族はクルッと振り向いた。
そしてケルゲリオの方に近寄ってくる。

「気付かれたか!?でも、あいつは妖狐じゃねえ。だとしたら……」

ケルゲリオはバッと姿を現す。

「よお、お前も俺と同じ目的でこの森に来たんだな?名前なんてんだ?もしかして、有名な賞金稼ぎだったりすんのか?」

いきなり目の前に姿を現したケルゲリオにやや驚きながらも、その魔族は答えた。

「森にヒューズ?目的って……。名前か、俺はジードってんだ」