赤子は仄かに黒い障気を纏いながら、自らをジード・エルナークと名乗った。
そしてすぐに目を閉じ、元の赤子の様子に戻った。

「ラウド、今のはなんだ?」

「おそらく、親の伝言魔法だと思うが……」

「我が名、とか言うかねしかし。もしかしたら王族の血筋とかなんじゃねえの?」


こうして息子を授かったラウドは、優しく、そして厳しくジードを育てた。

ジードの成長は驚くほど早く、三ヶ月ほどで言葉を話し、半年経った頃には両足で立ち、歩いた。

ラウドはこの森で一魔で生き抜く事が出来るように、ジードの物心ついたときから闘いを学ばせた。
もって生まれた格闘センスか、ジードはみるみるうちにその実力を向上させてゆく。

気がつくと、こんな息子の成長は、ルークの言ったとおりラウドの生きる希望となっていたのだ。

そして17年の月日が経った―