ユウさんは、自分の事を一切語らなかった。

いつも私の隣にいて、私の話を静かに聞いていた。

ユウさんが私によく言う言葉。

“アリスが光なら、僕は影だ。”

私は影になりたかった。

誰に気付いてもらえなくたっていい。

ユウさんがいれば、それでよかった。

でも、ユウさんはいない。

そう思うと、自然と涙が零れる。

「ユウさ、ん…。」

名前を呼べば、また会える気がした。

いつもみたいに私の側に来て、寄り添ってくれる気がした。

それは、叶わない願い。

私はユウさんに会えるのなら、自分の全てを捨てられるのに…。