「お前っ!!王子に何を!!」
「…王子…様?」
部下らしき男に海音は目を見開き問うと
それが堪に障ったのか海音に向かって剣を
抜くと海音に振りかざそうとした瞬間。
すんでのところでピタっと剣は止まった。
「王子…っ」
「いきなり剣を抜くな」
その言葉に部下は申し訳なさそうに剣を
しまうと青年に頭を下げた。
「何故、抵抗しなかった?」
くるりと振り向き青年は海音を見ると
静かに、でもどこか怒りを見せた瞳で
海音に問う。
「何故って…」
そこまで言ってフッと嘲笑うかのように
笑みを溢せばスッと瞼を閉じた。
「おい!!…気絶しているようだ」
青年は軽々と海音を抱き上げると乗って
いた馬に乗り部下を連れ草原を後にした。

