その頃、執務室を出た海音は一人頬を赤く染めながらも廊下を歩いていた。
まったく…あんな所でキスするなんて…ッ
きっと見られてたわ…
エリックの事を思いだし更に恥ずかしくなり赤面する海音。
「…きゃッッ!!」
ドンッッと勢いよく尻餅をついた海音は余程痛かったのか目には僅かに涙が滲む。
「すみませんッ!!…大丈夫ですか?」
そう言って差し伸べられた手を借り立ち上がるとやっと海音はその相手を見る。
亜麻色の髪をした人形のように可愛い丁度海音と同い年くらいだと感じる少女。
…可愛い人。
そんな事を瞬時に感じたがハッとして口を開く海音。
「すみません、私こそ周りを見てなくて…」
そこまで言って頭を下げる海音に少女は慌て頭を上げるよう促す。
「…貴女が海音さん?」
唐突に聞かれた質問に少し不思議に思いながらこくりと頷けば少女は嬉しそうな表情になる。
「私ノエルです、ハルウ兄様の妹よ」
「まあッ…私ったら失礼をして…」
「いいのよ!!止めてちょうだいっ」
焦って言うノエルの姿に思わずふふっと笑みを溢すとつられてノエルも笑みを溢す。

