今だ信じ難い現実をすんなりと受け入れる
のはやはり難しく暫し呆然としながら
ドサッと後ろに寝転がれば天を仰ぐ。
夢に出てきた男―…
声は覚えているものの顔、姿すらも
まったくと言っていいほど見えず相手を
見つけるのは無理だと考えて溜息をはいた。
元の世界に戻る方法…。
そこまで考えフッと海音は嘲笑う。
元の世界に戻って…何がある?
また父様の人形に戻るだけ。
何度消えたいと願ったんだろう、
だったら…この綺麗な大地で死にたい。
今さら死ぬことなんて怖くもない。
あの生活に戻る方が辛く苦しい。
そこまで考えると次第に重くなる瞼を
ゆっくりと閉じると眠りへと堕ちていった。

