老婆が部屋を出るとスッと音をたて静かに
障子が開くとスーツを着た無表情の
中年の男が部屋に入ってきた。


男の名前は柊 善明(ヨシアキ)
中年と言えど端正な顔立ちはどこか海音に
似ていて正真正銘、海音の実の父親だ。


善明は大手不動産会社の社長。
そして先程いた老婆は善明の母であり
海音の祖母だった。


「もう終わりだ、部屋に戻れ」

「かしこまりました」


まるで親子の会話とは思えないが海音は
まったく嫌な顔せず立ち上がると静かに
部屋を後にした。


誰かが来れば海音を見たがるので善明は
海音を出させ客は満足すれば帰る。