「少しバルコニーに行ってきます」
「気を付けてね?行ってらっしゃい」
ハルウが挨拶回りとダンスに行ってしまい暇をもてあました海音はロイスにそう告げればホールを後にした。
ガチャ―…ッッ
バルコニーへの扉を開ければスウッと冷たい夜風が海音の体を包む。
「気持ちいい…」
人混みで火照った体には夜風はちょうどよく熱を冷まし思わず呟く海音。
「こんなに広いんだ…」
バルコニーからは城下町の方まで見えキリシャノスの広さを目の当たりにする。
本当に綺麗な世界。
私が知らない事もあるけど…何かがやっぱり地上界とは違うのね。
「こんばんは」
「…ッッ」
不意に聞こえた声に思わず肩が震える。
おずおずと振りかえればそこには全身黒に身を包んだ男の姿。
黒ずくめ…ッッ
そこまで考え恐る恐る男の顔を見れば海音の視線はそこでピタリと止まる。
黒髪に緑の目をした恐ろしい程美しい男の姿に思わず海音は震えだす。

