「私―…ああ、気を失ってたのか」
そこまで思い出すと言い様のない違和感に
胸を包まれ暫し沈黙が続く。
確か…剣を出された時に消えていい…
そう願ったと同時に頭に痛みが走ったのだ。
そこまで思い出すも原因はわからず
もやもやとしたままふと顔を上げた。
顔を上げればエリックと目があい暫し
目を瞬かせるとニコりと微笑んだ。
これは海音の挨拶のようなもので海音の
なかではこれが人との一線なのだ。
「…名前は」
不機嫌そうに呟くエリックに少し疑問に
思いながら目を見つめ答える海音。
「柊 海音です」
その凛とした声は先程まで気を失ってた
少女とはまったく別人で思わず少し
目を見開くエリック。

