この国―キリシャノス王国では大体の者が
銀髪や金髪、暗くても栗色の髪なのだ。
だが海音は漆黒の髪。
黒髪の者も他国にはいるがその場合は肌も
黒い者ばかりで漆黒の髪に白肌の者は
いないのだ。
「そんな娘を城に入れるなんて…」
そこまで言うと細めていた目を閉じると
深く呆れたように溜息をはいたエリック。
そんなエリックの様子をものともせず
ハルウはフッと笑みを溢した。
「大体ハルウはちゃんと立場を考えて…」
エリックがそこまで言ったとき微かに
んっ…と声を出し海音が身動いだ。
それと同時に先程まで海音の顔を覆って
いた髪はサラリと落ちれば海音の顔は
露になる。

