ドキッ…





何だ…


心臓の鼓動が、早くなる。


しかも、桜の満面の笑みを見た瞬間に…


恋?いや、まさか、ついさっき会った人だぞ?


ほとんど他人みたいな人に、恋をするはずがない。


「そうだ!!桜、風呂に入って来いよ!!」


俺は、自分の鼓動をごまかすように、桜に話しかけた。


『風呂?』


風呂と言うワードを聞いた瞬間、


桜の顔が、一気に明るくなった。


それはもう、パァァァアアアと言う効果音をつけても良いぐらいに


『お風呂大好きです!!何処にあるんですか?』


あ、風呂が好きなのか…


記憶ないのに、そんな事は覚えているのかよ…


子供みたいな桜を見て、ふいに笑いが込み上げてきた


『あー!!何笑ってるんですかー!!


人の顔を見て笑うなんて、失礼ですよ!!』


桜は、そう言ってそっぽを向いた。


顔が、ほんのり赤いような気がするのは、気のせいだろうか?


「ごめん、ごめん!!あ、風呂はあっちな?


入ってくれば?」


そう言って、風呂が有る方に指をさすと、


『わぁ~!有り難うございます!!


入ってきますね!!』


と、急いで風呂の方へ走っていった。