『おじゃましまーす…』


小さくそう呟き、俺の部屋に入ってくる女。


あんな、雨の中、見捨てるわけにもいかないので、


連れてきたのは、良いけど……


知らない奴を家に入れるって…


ダメじゃね?


しかも、誘ってついてくるほうも、ダメだよな…


俺、一応男だぞ?


もしかして、男と思われてない!?


『あの…大丈夫ですか?』


ぼーとしてる俺を不思議に思ったのか、


俺の顔を覗き込んできた。


「/////!!だ…大丈夫だから!!」


上目づかいとか、は…反則だろ////


『す…すみません!!』


計算か…?  いや、天然だな…


俺は、洗面所に行き、タオルを渡した。


「とりあえず、髪とかふいといて、


えーと…」


そう言えば、名前知らないし…


てか、それ以前に名前覚えてないって言ってたな…


『あ…えーと…』


彼女も俺が思っている事に気が付いたのか、顔を歪ませた。


「………桜…」


『はい?』


「名前、桜で良くないか?」


『桜…きれいな名前ですね!!気に入りました!!』


そう言って、彼女…改め、桜は、


満面の笑みで微笑んだ。