走りながら、俺は手紙を読み始めた…。







-隼人へ-


今まで有り難う、とっても楽しかったよ!!


もっと色々な事、隼人としたかったけど、それは出来ないから、


私は、此処を出て行きます。


服、一緒に買いに行けて楽しかったです。


隼人と色々喋れて、面白かったです。


隼人にとっては、ただの同居人だけど、私は貴方を愛してしまいました。


最後になったけど、私に愛し方を教えてくれてありがとう。


一生忘れません、お幸せに…



-桜より-










「うっ…何でだよ…何でだよ!!!」


ポタポタを、手紙に涙のシミが出来て行く…


俺はひたすら、桜を探して走った…


あたりは、もう暗くなってきている。






桜は、出て行った…


此処にはもういない…


その現実が、俺の胸に深く突き刺さる…


幸せに!?なれるわけないだろ?


「帰って来い…帰ってこいよ…」


俺のか細い声が、夜の街へ静かに消えて行った…。