桜が、着替え終えた後、


俺達は、さっそく店に向かった。


『うわぁー!!可愛い服がたっくさん♪』


店についた途端、桜は店をあっちこっち移動し、服を見始めた。


「おい、桜-!!あんまり走り回んなよー!!」


はるか遠くで、服を眺めている桜に声をかけ、


俺は、近くに会った椅子に腰を掛けた。









真っ白い服は、あきらかに目立っており、


桜の横を通り過ぎる人は、桜を不思議そうな目でみている。


柄もなく、真っ白いワンピース…


店を探しても、そう簡単には見つからないだろう。


そんな服を、どうして桜が来ていたのか…


とうの本人に聞いても、”分からない”と言うだけだ。


桜は無意識だろうが、前の記憶の事聞くと、いっきに無表情になる。


それだけ桜は聞かれたくない事なのだろうか…?


俺は、それだけじゃないと思う。


聞かれたくない…と言うこともあると思うが、


なにより、桜の記憶に関係があるようで怖い。


桜に記憶が戻ったら、桜が消えてしまいそうなんだ…


桜が俺に見せてくれる花のような笑顔も、


記憶が戻ったら、見せてくれないような気がする。


こんな事を言うのはダメだとは分かってる、


だけど俺は、


”記憶が戻ってほしくない”と思わずにはいられない。