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「ふぅ、さっぱりした」
濡れた髪をバスタオルで拭き取りながらベッドにすとんと腰掛けると一気に体の力が抜けそのまま横たわりたい衝動にかられる。
ダメダメ、乾かさなきゃ明日髪が大変なことになっちゃう。
でもドレッサーに向かう気力はすぐにわかなくて、正面の壁に掛けられたカレンダーに目をやった。
カレンダーは1ページに2ヶ月分ずつが載っているもので、今は11月と12月が載っている。
そのカレンダーの12月頭に一際目立つ赤マジックで書かれたハートマーク。
再来週か…
毎年この辺の町内で行われるお祭りが再来週に迫っていることを表していた。
そう、冬馬が言っていたお祭りとはこのこと。
地元住民しか知らないようなこじんまりとしたお祭りだけれど、屋台もいくつも出て、お祭りの最後には花火も上がる。
澄んだ冬の空に舞う花火は華やかでとても綺麗なんだ。
冬になると楽しみにしてる行事のひとつで、小さい頃から冬馬と2人で行くのが毎年の恒例になっていた。
こたつが出始める季節になると極力外に出たがらない低体温冬馬でさえも、このお祭りだけはどういうわけか進んで行きたがるんだ。

