その冷たい手、温めてあげる。



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「はぁ? 何で手袋が片方だけなんだよ」



クリスマスの飾りで賑わう駅前の道。


冬馬はさっき渡されたあたしからのクリスマスプレゼントに不満を上げているところ。


冬馬の手には左手分だけの赤い手袋。あたしが手編みしたもの。



「いいでしょ?」


「よくねぇよ。もう片方はどうすんだよ」



あたしは冬馬の前に立ち、自分の右手を突き出す。



「じゃーん。もう片方はあたしの分でーす」



あたしの右手には冬馬とお揃の赤い毛糸で作った手袋。


冬馬はすべてを理解したように、肩の力を抜いた。



「普段は使えねーじゃん」


「あたしがいる時専用なの」