悪びれた様子もなく答えた冬馬に少し苛立ちを覚える。
だって人の彼氏をどこかのご当地キャラみたいに言うんだもん!!
そりゃ苗字に熊ってついてるし、柔道部だったからガタイもよくて見た目もちょっとクマみたいだけど…
でもでも、くまごろうはないでしょ!!
「ふぅんだ。あんたはそのくまごろうのせいで1人でお祭りに行く羽目になるんだからね! せいぜい凍え死なないことね!」
「さぁ、それはどうかな」
悔しくて精一杯皮肉ってやったのに、返ってきたものは思いがけず余裕たっぷりの言葉で、面くらい、たじろいでしまう。
「…な、何がよ」
「俺が恋しくなって、結局はあの桜の木の下に来るってこと」
冬馬は顔だけをこちらに向け、意味ありげな笑みを浮かべた。

