「ごめん。今年は無理」


「はっ? 何で?」



がばっと起き上がる冬馬に対し、あたしは体を机に向きなおして雑誌のページをめくる。



「彼氏と行くからに決まってるでしょ」


「……」



ひとつ間の空いた会話。


でもすぐに冬馬がぼそりと呟いたのをあたしは聞き逃さなかった。



「…くまごろうか」



……くま、くまごろう!?



びっくりして振り返ると、冬馬は気ダルそうにテーブルの上に顎を乗せていた。



「ちょっと冬馬、くまごろうって熊田先輩のこと!?」


「この会話の流れで他に誰がいるんだよ」



――なっ…!!