その冷たい手、温めてあげる。


「あら、まだ冬馬くん迎えに来てないじゃない」


「今日は違うのっ」


「今日は違うって…?」



ブーツのファスナーを上げ、お玉を持ったまま玄関でぽけっと立っていたお母さんに手を振り扉を開ける。



「じゃね、行って来ますっ」






待ち合わせ場所の駅前まで走って15分。


ほんわか照らされた駅前の街灯の下に体格のいい熊田先輩を見つけ急いで駆け寄った。



「先輩ごめんなさいっ、遅れてしまって」


「うんん。大丈夫だよ。実は自分も遅刻してさっき着いたところなんだ」



そう言うわりには息も髪型も乱れてないようけど…


先輩をまじまじと見ていると、あたしの視線に気付いた先輩は遠くを見て鼻の頭を指で掻いた。


この仕草をしてる時は先輩がテレている時。


もしかしてあたしに気を使って嘘ついてくれたのかな。


首を傾げその仕草を見ているとあたしは「あっ」と声を上げバックの中を漁った。