その冷たい手、温めてあげる。




お祭り当日。



「ちょっとお母さん、何で起こしてくれないかな!」


「だって何時に出て行くかなんて聞いてないもの」


「もうっ」



あたしは夕飯の匂い漂うリビングを飛び出て部屋へ駆け上がった。


待ち合わせまでの時間まで余裕があったあたしは、リビングのソファに座りぼけっとテレビを見ていたらいつの間にか眠りこくってしまっていたんだ。


部屋に入るとドレッサーの前に座り髪の毛を整え、軽くメイクをする。


着替えは済ませてあったから服装はバッチリ。



「…よしっ」



部屋の時計を見ると6時10分。


すでに待ち合わせ時間より10分も遅れていた。


やばいっ


あたしはバックを手に取ると、部屋を出て階段を駆け下りる。