今でこそ抱きついてくることはなくなったけれど、
学校帰りにあたしの部屋に寄るのは相変わらずで、用もないのにほぼ毎日あたしの部屋でくつろいでいく。
……ったく。
あたしは全く帰ろうとしない冬馬の存在を諦め、買ったばかりの雑誌を机の上に広げる。
しばらく雑誌をめくる音だけが部屋に響いていたけれど、ほどなくして
「…なぁ」
冬馬のやる気のない声が掛けられた。
「何?」
「今年も行くだろ? お祭り」
振り返ると、いつの間にかコタツから顔を出した冬馬の視線とぶつかる。
いつになく真剣な眼差しを向けられるけれど、あたしはそれをひょいと受け流した。