その冷たい手、温めてあげる。


怒りにも似た冬馬の瞳。


肩を掴む手に力が込められ、次の瞬間、傾けた冬馬の顔がスッと近づけられた――。



――いやっ…!!



俯くと同時に冬馬の胸を思い切り突き飛ばした。


ガタンと音を立て机と机の間にしりもちをつくように倒れる冬馬。



「…痛ってぇ…」


「な、何しようとしてるのよ!!」



顔を歪める冬馬をあたしは精一杯睨んだ。


でも強気の口調とは裏腹に瞳から熱いものが溢れ出そうとする。


何でこんな時に涙なんて。


わけも分からず込み上げてきた感情に泣くもんかと唇を噛みしめた、その時、


廊下から大きな何かが走ってくる足音が聞こえた。