「いつもいつも何であたしの部屋にいるのよ! 自分の部屋で温まればいいじゃない!」
「んなの、決まってるだろ。未菜んちの方が学校から近いから」
「近いってあんたんち隣じゃない。あと数メートル我慢すれば済む話でしょ!!」
「無理。その数メートルが命取り。凍死する」
そう言い頭まですっぽりとコタツの中に潜り込んでしまった冬馬。
文句を言いながらも人の部屋でぬくぬくとくつろぐこいつ。
こいつは、吉田冬馬。
家がお隣同士で、同い年で、幼馴染。
幼稚園に入る前からずーーっと一緒でうんざりしてるってのに、高校まで同じときた。
うんざりっていうのは、冬馬の異常なまでの寒がり様に迷惑をしているのだ。
『俺は通常の人より平熱が低い』が代名詞の冬馬。
昔から冬馬は何かにつけてあたしに抱きつき暖を取ろうとしてくる。
あたしだって平熱36.5度の人並みで人並みに寒いってのに、
冬馬の冷たい体をくっつけられ体温を奪われるという散々な目に遭ってきた。