その冷たい手、温めてあげる。

机の上に顔を乗せ、1を示すように人差し指を突きたてた形のままポケッとあたしを見上げている冬馬。



「な、なにしてるのよ。びっくりするじゃない」


「何って、こんなところで寝てたら風邪引くと思って起こしてあげたんだけど?」


「ならもっと普通に起こしなさいよ! あんたの手冷たいんだから」



触られていた頬を手で押さえて訴えると、



「これ、俺の武器」



冬馬は人差し指の先をつんつんとして見せた。



…何が武器よ。



呆れて再びイスに腰を下ろすと、



「て言うかさ」



冬馬が膝に手を置いて立ち上がった。