その冷たい手、温めてあげる。



*****



ちゅっ…。


……冷たい。


ぷにっ


……冷たい。


ぷにっ


……だから冷たいってば…


あたしは手で頬のあたりを払う。


ぷにっ


……だから…



瞼に微かに力を入れる。


するとうっすらと視界が広がり、もう一度ぷにっと冷たい感触が頬に触れて、一気に目が覚める。


目の前には冬馬のドアップ顔。



「うわぁっ!!」



驚いて反射的に体を起こし、イスがガタンと音を立てた。