その冷たい手、温めてあげる。



今日もまた、見事なまでに着込んで…。



耳当てにグレーのマフラーを鼻の頭までぐるぐる巻きにして学校指定のピーコート着た冬馬。


あの目、寒さにイラついてる。


ホントどれだけ寒がりなんだか。



込み上げてきたものにアキコにバレないようにふふっと笑って冬馬の後方に目をやると、熊田先輩の姿も見つけた。


冬馬とまったく逆で、防寒具ゼロの熊田先輩。


周りを注意深く見てみると、密かに熊田先輩に熱い視線を送っている男子生徒の姿がちらほらとあった。


特に後輩に人気の熊田先輩。



「あ、ついでに高温動物も発見…」



アキコがなぜか残念そうに呟いた。