「由香里~?」 あ、お母さんが、リビングから呼んでる。 今日は、久しぶりに、仕事が早く終わったって言ってたっけ。 それなのに、ごめんねお母さん。 今、返事をする元気がないんだ。 「由香里~?聞こえないの~?」 聞こえてる。 でも、ごめん。 ムリ。 「もう。あの子ったら、寝てるのかしら?」 トントンと、階段を上がってくる足音が聞こえてきた。