青薔薇姫




瑞華……悪いな。


そう思いながら、俺はポケットから針金を取り出し、ピッキングを始めた。


瑞華の家の鍵がカードキーじゃなくてよかった。


……ガチャッ


鍵はすぐに開いて、俺達はゆっくりと瑞華の家の中に入る。


「瑞華ぁー…?」


「邪魔してるぞー?」


家の中からは何も聞こえない。


誰かがいる気配すらなかった。


リビングに続くドアを開くと俺達は息を呑んだ。




「「「「……っ!!」」」」


"殺風景"


この言葉はこの家のためにあると思うほど、家には何もなかった。


あるとすれば、冷蔵庫やテーブルなどの大きな家具だけ。