「熱はねーな」 え…ね、熱? そんなに顔真っ赤だったの!? 「昨日、びしょ濡れだったから」 あ、なるほど…だからおでこに手をあてたってワケか…。 どうしてあたしがびしょ濡れだったか気になるけど…聞かないでおこう…。 「ほら」 そう言って、差し出された、大きな手。 顔を見ると怖いけど、その手は優しさが見えた。 ためらわずに、その手を掴んだ。 ……この時、あたしの運命は変わったのかもしれない。