「お前はひとりじゃねー」




蓮の手が、あたしの背中をポンポンと叩く。




そのリズムが心地よくて、あたしは自然と泣き止んでいた。




蓮のつけてる香水が、鼻をかすめた。




「ごごごごごめんねっ」




「慌てすぎ」




真っ赤な顔して離れるあたしを見て、おもしろそうに笑う。




「あ、ありがと…っ」




蓮のおかげで、一歩進めた気がする。




本当に嬉しかった。




「俺は部屋帰るから、ゆっくり休め」




蓮が、帰っちゃう。




このままでいいの、あたし…。