「せんぱーい!早く来てくださいよ!女子がうるさいです!!」

「あ、ヤベ。呼ばれてるわ。あ、今泣いてたの内緒な!」

 そう言って、右手の人差し指を唇に当てた。

「な・い・しょ!」

「は、はい」

「じゃね!」

 私の頭の中には、最初の泣き顔じゃなくて、最後に手を振ってくれたときの爽やかな笑顔が残った。