「行かないで」って泣く子もいる。「寂しいよ」「今度はいつ会えるの??」みんなが次々に涙を流す。

 この子達を見ていると、本当に今日でみんなと当たり前のように会うと言うことが出来なくなるんだ…

 ん…??

 「どうした穢汝??」

 「何だか胸にポッカリ穴が開いたような…モヤモヤするって言うんでしょうか??」

 健二さんが静かに優しく微笑んだ。

 「たぶん寂しいんだと思うよ??」

 「コレが…寂しい??」

 「そう。それが寂しいってこと」

 コレが寂しいって事なんだ…。初めての感覚。

 「親しい人と離れるんだ、みんながそんな感じになるよ。それが行き過ぎると、この子達みたいに涙が出る。そういうものだよ」

 親しい人と…

 あ…人と関われば感情が生まれる。コレって本に書いてあった事…??

 あれに書いてあったことは嘘ではなかったのか??

 「またすぐに遊びに来るから。それまで待っていて」

 「本当に??」

 「うん」

 まだ本当の笑顔を誰かに向ける事は出来ない。だから…今だけは作り笑いで許してほしい。

 「なら待ってる!!」

 みんなが笑顔になった。

 「あの、全部積み終わりましたので引っ越し先に向かいますね。助手席にどうぞ」

 「はい、ありがとうございます」

 みんなに頭を下げて、助手席に座り手を降る。

 「ばいばぁ~い」



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 引っ越し先までは車で約15分の場所だった。駅から5分の所で近くにコンビニもスーパーもある。

 理想のアパートだった。

 でも…

 「とても広いお部屋ですね??高校生の女の子が1人で住むには広すぎますよ」

 「私もそう思います。でもお父さんが選んでくれた家なので…大事にしたいです」

 「そうですね。荷物は和室に積み上げてあるますので。本日はありがとうございました、失礼します」

 「ありがとうございました」

 引っ越し屋さんが居なくなると本当に広い部屋だ…

 コレからココで暮らすんだ。

 私は本当にこれで“独り”になったんだ………