誰かを傷つけてしまうぐらいなら、私は誰とも関わらない。独りでずっと生きていく。

 独りで…生きていく。



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 1日は本当にあっという間に終わってしまう。

 今日もボーっとしている間に授業も全て終わっていた。

 いつも通りクラスの子が私を貶す言葉を発する。

 それを聞こえていない振りをして静かに前を向いて授業を受ける。

 昼休みになったら図書館に行って静かに本を読む。

 そして下校。

 私の平凡な毎日。

 それが終われば孤児院に帰ってお父さんと少し話を交わす。子供達と少し遊んで、ご飯を食べて、風呂に入って後は寝るだけ。

 そうして今日もあっという間に1日が終わった。



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 誕生日当日の朝。
 私が引っ越す日。

 お父さんの作った朝ご飯を食べる。今日で最後の朝ご飯…。

 それから引っ越しのトラックを待っていた。子供達と遊びながら。

 「久し振りだな、穢汝」

 子供達と遊んでいると、後ろから話しかけられたら。

 懐かしい声。小さい時に何度か聞いた男の人の声。

 「お久し振りです。健二さん」

 「おう。覚えていてくれたんだな??嬉しいぞ穢汝」

 この人はココのお父さんの息子さん。大学を今年の春に卒業した24歳で、近々このひまわりを継ぐらしい。

 「今日でココ出なきゃ行けないんだよな??また…さ、新しい家に遊びに行ってもいいか??」

 「いいですよ。何時でも来てください。あ、でも…来るときには連絡をしてくださいね。片づけなくてはいけないんで」

 「分かったよ。楽しみにしてるな??」

 「はい」

 健二さんは私の頭を撫でながら満面の笑顔だった。

 「お姉ちゃん、トラック来ちゃったよ?!もう…お別れなの??」

 「お待たせしました、菜の川トラックです。お荷物はどれですか??」

 トラックが来た。もうコレでみんなとはお別れだ。

 「えっと。あそこに出ているダンボールで全部です。よろしくお願いします」

 「はい」

 頭を下げると、子供達が一斉に私に抱きついてきた。