大切なキミへ。 短編集☆




歩きながら、1年前を思い出していた。

幸せな時間を。




『紗菜。寒いだろ』


ふわっと私の首に巻かれる
彼の温かいマフラー。



『でも、それじゃ…』


『いいよ、俺は。
紗菜が風邪ひく方が
俺が風邪ひくより、辛いから』



『……!』



私は、嬉しくて幸せでしょうがなくって
ニコッと笑ったことを覚えている。





ふと寂しくなって
自分のマフラーをぎゅっと
握りしめて、歩いた。



これが、彼のマフラーなら
よかったのに。