でも、どうしよう。 さっき、無視しちゃったよ。 田原は笑いかけてくれたのに。 …私が田原の厚意を無駄にしちゃったんだ。 悶々と考え込んでいる間にも 時間は過ぎてゆく。 放課後、明日からどうしよう…と帰ろうとすると 田原から声をかけられた。 「…蒼平」 どきりとして、声が出ない。 「…な、何…」 かろうじて、 かすれた小さな声が出た。