大切なキミへ。 短編集☆






でも、どうしよう。

さっき、無視しちゃったよ。



田原は笑いかけてくれたのに。

…私が田原の厚意を無駄にしちゃったんだ。




悶々と考え込んでいる間にも
時間は過ぎてゆく。



放課後、明日からどうしよう…と帰ろうとすると
田原から声をかけられた。



「…蒼平」



どきりとして、声が出ない。



「…な、何…」



かろうじて、

かすれた小さな声が出た。