前を楽しそうに歩く二人と、 大人しく歩く私たち。 話しかけようとすると、 いきなり肩を優しく掴まれて 「…、鈴川、こっち」 スッと、とても自然な動作で 私は気が付くと 歩道側を歩いていた。 今まで、そんな扱い されたことなくて。 クラスの男子とは あまりにも違う 〝この人は男の人なんだ〟 そんな考えが頭をよぎった。 「あっ、ありがとうございます」 「別に普通だからさ」 ニッと笑った先輩に 私はやっぱり --何も言えなくなってしまうんだ。