大切なキミへ。 短編集☆





前を楽しそうに歩く二人と、

大人しく歩く私たち。




話しかけようとすると、
いきなり肩を優しく掴まれて

「…、鈴川、こっち」



スッと、とても自然な動作で
私は気が付くと
歩道側を歩いていた。



今まで、そんな扱い
されたことなくて。

クラスの男子とは
あまりにも違う

〝この人は男の人なんだ〟

そんな考えが頭をよぎった。





「あっ、ありがとうございます」


「別に普通だからさ」


ニッと笑った先輩に
私はやっぱり



--何も言えなくなってしまうんだ。